IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)は、特定の金融機関に属することなく、独立的な視点で顧客の資産運用をサポートする立場です。
昨今はテレビやネットメディアなどで資産運用の話題が取り上げられることが増えました。それに連れてIFAの存在も注目度を増してきています。IFAは、ひとりではお金の問題を抱えきれないと感じている顧客にとっての「頼れるパートナー」でなくてはいけません。
本記事では、そんなIFAになるために「必須となる資格・持っておいたほうが良い資格・求められるスキル」を解説します。
IFAになるために必須の資格とあった方が良い資格
IFAになるためには「必須の資格」が1つあります。
それは証券外務員試験に合格することです。
本項では、その試験について詳しく解説するとともに、IFAとして業務するうえに持っておいた方が良い資格についても併せて紹介いたします。
必須の資格は『証券外務員試験』に合格すること
IFAの基本形態は証券外務員とされています。
そのため「証券外務員試験」で合格し、金融商品の取り扱いができるようにならなければいけません。
証券外務員には一種と二種があります。二種では、現物株式や投資信託の提案が可能です。一種を取得すると信用取引、デリバティブ取引などリスクの高い商品の提案も可能となります。
二種の取得だけでもIFAになれますが、一種を取得することで提案商品の幅が広がるので、一種を取得しておいたほうが良いでしょう。
証券外務員について
銀行などの登録金融機関・証券会社において金融商品の販売や勧誘などの外務行為をする際に必要となる資格。
証券外務員は、日本証券業協会が定める民間資格であり、この資格なしで金融商品の販売を行ってはいけません。
一度取得したら終わりではなく、継続的に資格更新研修を受けることが義務付けられています。
一種外務員資格について
一種外務員資格を取得し外務員登録した人は、すべての有価証券に関わる業務を行えます。
「デリバティブ取引」「信用取引」といったリスクが高い金融商品も扱えるようになるので、より多くの顧客と取り引きが可能です。
試験についてですが、金融商品取引法・関連法のほか、株式や債券等の知識が必要になります。
合格率一種外務員試験の合格率は、以下の通りでした。 ・2022年は70.5% ・2021年は71.7% ・2020年は74.6% ・2019年は67.6% |
基本的に、金融機関で勤務する人が受験するものなので合格率は比較的高めです。
二種外務員について
二種外務員も一種と一緒で現物株式などの取り引きが可能になります。
しかし、一種と違ってデリバティブ取引・信用取引といったリスクの高い商品は扱えません。
試験の問題も一種とは違い、金融知識の基本について問われるものが多いです。
合格率二種外務員の試験合格率は、以下の通りでした。 ・2022年は70.5% ・2021年で70.5% ・2020年で68.9% ・2019年は65.2% |
あった方が良い資格①「生命保険募集人資格」
IFAとして活躍する多くの人が「生命保険募集人資格」も併せて持っています。
資格の内容は、生命保険の販売ができるようになるというものです。
この資格があることで、金融商品仲介業と同時に生命保険も販売することができます。IFAとして業務の幅が広がるので取得している人が多いです。
ちなみに生命保険募集人資格には「一般課程試験」と「変額保険販売資格試験」の2つがあります。
生命保険には定額保険と変額保険があり、変額保険の販売には「変額保険販売資格試験」に合格しなくてはなりません。変額保険販売資格試験を受験するためには、一般課程試験へ合格し、生命保険募集人として登録されなくてはなりません。
多くの段階を踏む必要がありますが、レベルの高いIFAを目指すなら取っておきたい資格です。
顧客の多くは、IFAを信頼し「自身の人生設計をしてもらいたい」と思っています。
そのニーズに応えるために、生命保険の提案は無視できないものです。
また、単純に幅広い選択肢を紹介できるのは他のIFAと差別化を図るうえでも大切な要素と言えます。
あった方が良い資格②「ファイナンシャルプランナー」
ファイナンシャルプランナーの定義が広いので、明確に定義することが難しいのが正直なところです。
一般的には「日本FP協会の技能士試験」、もしくは一般社団法人「金融財政事情研究会」のFP技能検定に合格した人をファイナンシャルプランナーと呼びます。
ファイナンシャルプランニングの業務は資格がなくとも可能ですが、試験に合格していれば面接でプラス評価を受けられるのは間違いありません。
また、試験合格のために培った知識もIFA業務において必ず役に立つでしょう。
資格を取った後はどうする?IFAになる方法を2つご紹介!
試験に合格しただけではIFAになれません。
IFAとして業務するためには以下にある2つの方法があります。
- IFA法人(金融商品仲介業者)に所属する
- 独立して金融商品仲介業者を設立する
この2つについて具体的に解説するので、流れを把握しておきましょう。
IFA法人(金融商品仲介業者)に所属する
証券会社と契約し、IFA法人に所属する方法です。
IFAの法人に所属する際は、正社員として勤務するか、業務委託契約を結んで歩合制で働くかの2択から選択することになります。
現在日本には680社(2023年7月31日時点)のIFA法人があり、それぞれ企業理念や求めるスキルが違っています。法人に所属する際は、自分にマッチした法人を選ぶようにしましょう。業務委託は成果を上げれば上げるほどお給料も上がっていきますが、逆に言えば結果が出ないと何も出ないということです。
まだIFAとしての歴が浅いならば、正社員として着実に経験を積んだ方が無難です。
独立して金融商品仲介業者を設立する
IFAの経験があり、証券会社など金融商品を扱う会社がスポンサーになってくれるのであれば、独立して金融商品仲介業を作ることもできます。独立する場合は証券会社と業務委託契約を結び、内閣の承認を得なくてはいけません。
このように独立するやり方は、法人に所属するよりもずっとハードルが高いです。
まずスポンサーを集めるのが大変ですし、初期費用も多くかかります。
必要なものを挙げるだけでも
- 法人登録のための登録免許税
- オフィス
- 法人独立の費用
など、枚挙に暇がありません。
IFAとして独立を目指している場合は、相応の労力と費用がかかると覚えておいてください。
IFAに必要なのは資格だけではない!求められるスキルを3つご紹介!
IFAとは、接客業であり金融業であり、顧客にとって人生のパートナーになることでもあります。
ただ単に知識があるだけでは、良いIFAとは言えないのです。
ここではIFAに求められるスキルを3つ紹介いたします。
資産運用の知識
IFAは資産運用のプロフェッショナルでなくてはいけません。
顧客も「プロにお金のことを相談したい」と思っています。
決して狭い視野でなくて、資産運用の幅広い知識をもっておくのがIFAとして必要なスキルの1つです。
常に資産運用や金融業界のトレンドを抑えておくようにしておきましょう。
顧客が抱えるニーズを引き出すヒアリング能力
IFAとは接客業でもあります。
顧客の潜在的ニーズにも気付いてあげれば、信頼度も一気に高まるでしょう。
中には間違った知識を持っていたり、偏った考えの顧客も存在します。そんな人に対しても寄り添ってあげ、真に抱える悩みを引き出せるようになってこそ「いいIFA」と言えるでしょう。
何気ない会話からも、顧客のニーズに気付けるようアンテナを張っておくことが大切です。
中立かつ正しい決断力
IFAは資産運用のプロでなくてはいけません。
顧客の人生設計を把握し、長期的な視野で「理想の資産運用」を行うためのナビゲーターになることを忘れないようにしましょう。
顧客がIFAを頼りにするのは、縛られた考えを欲していないからです。決して、誰かの受け売りではなく、顧客にとってのベストな選択肢を中立の立場で提案できるようにしておく必要があります。
どんなことがあっても「ノルマ達成のために無理矢理でも提案しなきゃ…」「自分の利益が一番」なんて考えは持たないようにしましょう。
何度も言いますが、常にIFAは顧客第一でなくてはいけません。
おわりに
IFAとして活躍するには、前提として証券外務員試験への合格が必須です。
しかし決して、試験に合格して終わりではありません。
金融業界は変わり続けます。この記事を読んでいる間にも、トレンドや市場価値は変化しているのです。
その変化を察しつつ、顧客の立場に立った提案ができるIFAになることを忘れないでください。
生きていてお金を無視することはできません。
「命の次に大事」と言われるお金を扱うプロとして、顧客に信頼されるIFAを志しましょう。
\ IFAへの転職を検討している方必見 /