みなさんは、金融業界における「仲介」と「媒介」の違いをご存じでしょうか?似たような用語のため、同じような意味合いで使用している方も多く、混同しがちな難解用語でもあります。
そこで今回は、金融商品における仲介と媒介の違いを以下の3つの構成で解説していきます。
- 金融業界でよく使われる仲介とは?
- 不動産業界で主に使われる媒介とは?
- 金融業界で「仲介」と「媒介」の意味が少し違う
金融業界でよく使われる仲介とは?
仲介とは、金融商品取引業者(証券会社)などと業務委託契約を結び、登録金融機関(主に銀行)がお客様と金融取引業者の間に立って金融商品の勧誘や仲介を行い、金融商品取引成立まで行うことを指します。
金融商品仲介が進むことで、金融商品取引業者に口座が開設され、実際に取引が行われると、登録金融機関へは仲介手数料が支払われるという流れになっているのです。
ここで出てくるのが、最近話題のIFAという職業です。IFAとは(Independent Financial Advisor)の略称で、独立系ファイナンシャルアドバイザーのことです。
IFAは、取り扱う商品が多いため、証券会社を始め、金融機関や保険会社とも業務委託契約を結んで活動しているため、このような名称がついているのです。また、IFAは会社の方針やノルマに左右されないため、顧客に寄り添った商品の提案ができるということも、「独立系」といわれる要素のひとつとなります。
IFAは、金融商品に関する知識が豊富なため、実際に多くの商品のメリットやリスクを考慮した上で提案ができるのです。その上で、金融商品を購入して運用するための証券口座の開設まで可能になります。
さらに、実際に商品を購入したり、契約手続きまではできますが、お金の受け取りや有価証券の受け渡しなどの事務的な業務はできないことは、IFAの規約で定められています。
登録金融機関が顧客と金融取引業者の間に入り、金融商品に関する仲介業務を行うことが金融業界で使われる「仲介」の意味となります。
不動産業界で主に使われる媒介とは?
次に「媒介」についてです。こちらの用語は、主に不動産業界で使われるものになります。分かりやすく不動産の例で解説します。
不動産業界における「媒介」とは、不動産のオーナーが自分の持ち物を売却したいときに、どこかの不動産業者に間に入ってもらう契約をすることを「媒介契約」といいます。
商品が異なるだけで、金融商品においても同じような意味合いとなります。
ちなみに、不動産業界での媒介契約は以下の3つになります。
- 一般媒介契約
- 専属媒介契約
- 専任専属媒介契約
それぞれの特徴を簡単に説明していきます。
- 一般媒介契約
複数の不動産会社と契約を結び、不動産の買主を探すという契約のことを言います。また、オーナー自身で買主を探すことが出来れば、買主と直接売買契約を結ぶことも可能になります。
ただし、複数の不動産会社とのやり取りを一人で行わなければならないため、身体的にも精神的にもかなりの負担がかかります。
そうならないためにも、十分な情報収集が必要になるでしょう。
- 専属媒介契約
不動産会社を1社だけ選んで契約を結び、売買に関する活動をしていくという契約になります。不動産会社は1社しか選べないため、多くの情報を集めて慎重に選んでいくことが大事になります。
しかし、1社に絞っている分不動産会社もかなり積極的に動いてくれるため、売買宣伝活動が進みやすくなる傾向にあります。
また、窓口がひとつになるため、一般媒介契約のように複数の業者とのやりとりがなくなるため、宣伝活動に専念できるという点もメリットとして考えられるでしょう。
こちらも一般媒介契約同様買主を自身で探して売買契約を結ぶことが可能になります。
- 専任専属媒介契約
最後は専属専任媒介契約です。専属専任契約は、上記の2つとは違い、自身で売買契約を結んだ場合でも、仲介手数料が必要となります。
こちらも専任契約同様窓口がひとつになるため、やりとりの手間が圧倒的に少なくなります。また、活動の詳細報告の量が多くなることが特徴です。
契約を結んでから、これまでにどのような販売活動や宣伝活動を行ってきたかを逐一報告してもらえるため、上記ふたつの媒介契約よりもより安心感が出るかもしれません。
さらに、オーナー自身が直接売買契約を結ぶことができないといった観点からも、さらに不動産業者にかかる責任は重大になります。
金融業界においては、有価証券の売買をする際、それを仲介することを媒介と呼ぶため、仲介と混同してしまうのも無理はありません。
この行為自体は、金融商品取引法でもしっかりと認められており、媒介という言葉の通り、間を取り持つということを指しています。
この媒介という言葉は、株式投資やFXなどでも頻繁に耳にする言葉であり、他人の間に入り契約の成立に最大限力を尽くすという意味を持ちます。
金融業界で「仲介」と「媒介」の意味が少し違う
前述した通り、「仲介」と「媒介」という用語はそこまで大きく意味合いに変わりはありません。しかし、金融業界では意味が少し変わるということがわかりました。
詳しい例を挙げながら解説していきます。
「媒介」とは、不動産業界で言うところの不動産を売却する時に結ぶ契約のことを言います。
上記の「媒介とは?」の項目にも書きましたが、不動産売却はオーナー自身で買主を探して売買契約を結ぶこともできます。
しかし、契約には必ず「法律」が絡んできます。もちろん、税理士資格や弁護士資格を持っている方であれば心配はありませんが、ほとんどの方は細かい法律は分かりませんよね。
法律を理解しない状態で契約すれば間違いなくトラブルが起こってしまいます。そのようなことにならないように不動産会社に間に入ってもらって売買を進めることを「媒介」といいます。
また、売却の場合に媒介契約を結ぶことは法律で定められているので、心配はいりません。
「仲介」とは、売手と買手が不動産会社に依頼することです。先ほどの「媒介」は、オーナー自身で不動産会社と契約することでしたが、「仲介」は、売手と買手両方が不動産会社へ依頼することを言います。
ですので、買手の代わりに希望の不動産を探し、オーナーと価格などの交渉も行います。双方が価格や条件などを総合的に判断して合意が取れたら、不動産会社が売買に関する契約書や手続きなどをしてくれます。
無事に売買が成立したあとは、双方が不動産会社に対して、「仲介手数料」を支払います。最終的には、「誰が不動産会社に依頼をして」「どのような動き方をするのか」で違いが出てくるのではないでしょうか。
まとめ
今回は、「仲介」と「媒介」の意味をそれぞれの業界の事例を用いて紹介してきました。
「仲介とは金融業界でよく使われる用語」
「媒介とは不動産業界でよく使われる用語」
どちらも、「両者の間に入って契約成立のために尽力する」という部分では一緒の意味になります。しかし、やはり業界ごとに見てみると、違いが出てきます。
金融業界では「仲介」という用語が飛び交い、不動産業界では「仲介」と「媒介」という似たような用語が状況によって使い分けられています。
金融商品仲介業と金融商品取引業の違いとは!?
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